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Lifehacks

科学者がテクノロジーの力で復活させようとしている7種の絶滅動物

気候変動や人間による開発、自然破壊によって、地球上で種が絶滅するペースは加速しつづけています。2100年までに地球上のすべての種の半数が姿を消すと推測する科学者もいます。


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その一方、最新の遺伝子工学を使えば、「絶滅種の復活(ディ・エクステンション)」は可能だと考えられています。絶滅種の復活を目指す試みが「人類の踏み込んでいい領域なのか」という根源的な問いに答えは出ていませんが、すでに世界各地で多くのプロジェクトが進められており、復活が現実になる日も近いと言われています。

この記事では、こうした復活プロジェクトで蘇る可能性が高いと言われる絶滅した動物7種をご紹介しましょう。

1. ドードー

ドードーはモーリシャス島だけに生息していた高さ1メートルほどの鳥。捕食者のいない孤島で飛ぶことを忘れて、のんびりと暮らしていたと考えられています。「不思議の国のアリス」に登場するのでご存知の方も多いでしょう。

しかし、大航海時代になりモーリシャス島が発見されると、簡単に捕獲できる便利な食料として乱獲され、さらにヨーロッパから持ち込まれたネズミや家畜にも捕食され、17世紀の終わり頃に絶滅したと推測されています。

これまでの研究博物館に保存されているドードーの剥製のなかにまだ軟組織が残っている個体があるため、そこからドードー復活に必要な遺伝情報が取得できるのではないかと考えられています。また、ドードーはハトの近縁種なので、現存する近縁種をDNAマッピングや雛を育てる代理親に利用する計画もあります。

2. クアッガ

クアッガは17世紀まで南アフリカで最も広く分布していた哺乳類でした。写真を見てお分かりのように、シマウマの仲間ですが、白と黒の縞模様は頭から胸の部分にしかなく、後ろ半分は茶色でした。この野生動物は人間の狩猟の対象や食料とされ、乱獲によって絶滅しました。野生では最後の1頭が1878年に射殺され、1883年8月12日にオランダのアムステルダム動物園で飼育されていたメスが死亡し、完全に絶滅しました。

これまでの研究:南アフリカではクアッガを復活させることを目的とした「クアッガ・プロジェクト」が1987年から続けられています。この研究は、近縁種のサバンナシマウマを選別交配させて、クアッガに似た特徴を引き出すことを目指すもの。最終的に、この新種のシマウマをかつてのクアッガの生息地で放つことを目的としています。

このプロジェクトは特徴が近い動物を選別交配させて似た種を生み出す取り組みですが、将来的にはクローン技術を導入する可能性があるということです。

3.  グリプトドン

グリプトドンは、現生するアルマジロの先史時代の近縁種です。南米のサバンナに生息しており、重さは1,400キロと巨大でした。硬い甲羅を持つグリプトドンは、新生代全体で広く繁栄しましたが、氷河期の終わりに出現し始めた人類に盾や防具を作るために狩られ、約12,000年前に絶滅したと言われています。

これまでの研究:ノースカロライナ大学ウィルミントン校のネイサン・クロウ博士らは、現生のアルマジロの遺伝子を変化させて、絶滅種の特徴を引き継ぐことができるのではないかと考えています。

4. マンモス

おそらく、このリストで最もよく知られている動物はマンモスでしょう。アフリカゾウの初期の近縁種で、ゾウと違いふさふさの赤毛が生えていました。マンモスの絶滅の理由は、人間による狩りや急速な気候変動ではないかと考えられていますが、完全には解明されていません。以前は12,000年前に絶滅したと考えられていましたが、新たな考古学的発見により、4,000年前まで小型のマンモスがシベリアのステップに生息していたことが確認されています。

これまでの研究:マンモスの遺伝情報はクローニングには不十分であるため、「マンモスそのものを作る」のではなく、「新種のゾウを作る」研究が始動しています。考古学者が確保したマンモスのゲノムの一部をゾウの細胞に組み込み、マンモスに似た赤毛を持つ新種のゾウを生み出すことが可能だと、ハーバード大の遺伝子学者ジョージ・チャーチ博士は説明しています。

Mamooth

5. ピレネーアイベックス(ブカルド)

ピレネーアイベックス(別名:ブカルド)はスペインアイベックスというヤギの亜種であり、名前が示す通り、ピレネー山脈に生息していました。19世紀に人間の狩猟によって数が激減しました。絶滅の直接の原因は感染症または不妊症と考えられています。

これまでの研究:2003年、科学者たちは冷凍保存された皮膚組織を使用し、ピレネーアイベックスの子鹿のクローンを作ることに成功しました。しかし、そのクローンの命は誕生からわずか数分で終わってしまい、種は再び絶滅しました。現在のところ、それ以降のクローン試行に関する情報はありません。

©Wikimedia Commons/KKPCW

6. メガテリウム(オオナマケモノ)

現生するナマケモノは樹上で生活していますが、その祖先メガテリウムは地上に住んでおり、数トンもの重さがありました。1万年前ごろに絶滅したとされています。絶滅の原因は、最後の氷河期以降の人間による狩猟や急速な気候変動ではないかと考えられていますが、はっきりは解明されていません。

これまでの研究:米国ローリーの自然科学博物館には巨大なメガテリウムの骨格が保存されています。科学者たちは、クローン化や繁殖を可能にするために、その骨格からDNAを抽出する研究に取り組んでいます。

7. エピオルニス(象鳥)

エピオルニスはアフリカのマダカスカル島に生息していた地上性の飛べない鳥。体重は530〜730キロであり、史上最も体重が重い鳥であったと言われています。現在のダチョウと同じく、羽は退化し、脚は長く丈夫でした。かつては無人島であったマダカスカル島で独自の進化を遂げていましたが、人間が移住するようになると狩猟や森林伐採などにより絶滅しました。

これまでの研究:2018年、ハーバード大の科学者たちは骨からゲノムを抽出することに成功しました。この遺伝情報を利用して、エミューの卵を用いて種の繁殖が可能であるかもしれません。

近い将来、どこかで巨大なナマケモノやマンモスに出会えるようになるのかもしれませんね。

生息地の開発や自然破壊、乱獲などで、あまりにも多くの生物を絶滅に追いやってきた歴史をもつ人類。科学者のなかには、そうした過去の過ちを正したいという思いで研究を続けている人もいますが、「現在の生態系の破壊につながらないのか?」「人間が踏み込んでいい領域なのか?」など多くの疑問や危惧も生じるとても難しい問題でもあります。

プレビュー画像: ©Pinterest/hookedbykati.com ©Twitter/ElConjuntoVacio