Lifehacks
欧米で広がる青い紙のレシートは何のため?
欧州、そして米国では、大手小売店を中心に、レジで従来の白いレシートではなく、青い紙のレシートが使われはじめています。
このブルーレシートへの転換はなぜ起きているのでしょうか?
従来のレシートに使用されていた白い感熱紙には、内分泌かく乱物質であるビスフェノールA(BPA)やビスフェノールS(BPS)の含有が認められています。BPAやBPSは、人のホルモンバランスを崩し、がんや生殖機能障害などの病気を引き起こす高懸念物質(SVHC)として欧米では規制対象となっているのです。そのため、安全性が高く、環境負荷が少ないフェノールフリーのレシートへの転換が進んでいるのです。(下の画像では左がブルーレシートでほんのりと青みがかかっています)
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BPAによる主なリスク:
- 循環器系疾患
- 糖尿病
- がん
- 不妊症
BPAを含む身近な製品:
- 感熱紙(レジのレシート)、
- 缶詰と缶飲料
- ペットボトル
- 哺乳瓶
- タッパー
- プラスチック容器
フェノールフリーのブルーレシートには、BPAやBPSなどの有害なフェノール系化合物が含まれていません。下層に普通の紙、中に黒い紙、その上に熱で透明になるポリマーがコーティングされた3層構造で、ポリマーに熱源を接触させることで文字が見えるようになります。印刷工程は無害です。
フェノールフリーレシートの利点とは?
ブルーレシートにはBPAやBPSが含まれていないので、有害物質が皮膚から吸収されたり、接触した食品が人の健康や環境に影響を与える心配がありません。また、白い感熱紙はリサイクルできない紙でしたが、ブルーレシートは古紙と同様にリサイクルすることができます。また、フェノールフリーの感熱紙は変色しにくいため、耐久性の面でもメリットがあります(ただし、長期保存する場合はスキャンやコピーをお勧めします)。
欧米では小売店でのフェノールフリーレシートへの転換が進むのと並行して、紙のレシートではなく電子レシートを導入する企業も増えています。日本でも、欧米諸国に遅れをとっているものの、今後、安全性の高いレシートへの転換と電子レシートへの移行が進んでいくと考えられています。
お伝えしたように、白い感熱紙のレシートの印字部分に触ると、皮膚を介してBPAが吸収される可能性があり、健康リスクが懸念されます。レシートの印字部分を素手で触れないように注意しましょう。
また、BPAは感熱紙だけでなく、多くのプラスチック製品のコーティングに使われています。プラスチック問題は海洋汚染が特に問題視されていますが、私たちの健康にも悪影響があるのです。普段何気なく使っているプラスチック製品を見直して、環境と健康に優しいものに変えてみませんか?
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