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ヘルスケア

感染症対策にアルコール消毒で安心してはいけない理由

風邪や感染症の流行が本格化する冬のシーズン。これら感染症予防の基本となるのが、手洗いやうがいの習慣です。

そしてここ1年以上に及ぶコロナ禍において、コロナウイルス対策として手指のアルコール消毒が定番化しています。

特にアルコール消毒については、家庭だけでなく買い物時にお店の入り口や勤務先、また飲食店などの店先にも常備されているのが当たり前となっています。また、小さなアルコール消毒ジェルのボトルを携帯しているという人も。

しかし、今年の冬は細菌やウイルスなどの原因によって腹痛や下痢を引き起こす感染性胃腸炎にかかる人がコロナ以前の水準になっていると言われています。

感染性胃腸炎の原因には、さまざまな病原体がありますが、よく耳にするものにノロウイルスがあり、発熱・下痢・吐き気・嘔吐・腹痛などといった症状が現れるほか、抵抗力の弱い高齢者や小さな子供は脱水など症状が重くなることもあると言われています。

でも、感染症対策に人々が敏感になっている今、どうしてまた感染性胃腸炎が増えているのでしょうか。

みなさんアルコール消毒をすればウイルスへの感染対策ができているとつい思ってしまっていませんか?

実は、ウイルスの構造の違いによって「アルコールが効きにくい」ものもあるのです。

コロナ感染が広まり始めた昨年、エンベロープウイルスという言葉をよく耳にした人が多いと思います。ウイルスには、本体の周りにエンベロープと呼ばれる膜があるものと、そうでないノンエンベロープウイルスというものが存在します。感染性胃腸炎を引き起こすノロウイルスやロタウイルスは、このノンエンベロープウイルスに該当すると言われています。

エンベロープを持つウイルスは、コロナウイルスのほか、インフルエンザウイルスがあると言われ、アルコール消毒することでエンベロープが破壊されウイルスが倒される仕組みになっています。しかし、エンベロープを持たないウイルスは、表面がタンパク質の殻で覆われているため、アルコールなどの消毒薬が効きにくい性質を持つと言われています。

このため、アルコール消毒をしたから大丈夫という思い込みで、手洗いが疎かになったことから、今冬に再びコロナ前の水準で感染性胃腸炎にかかる人が増えているのではと考えられています。

アルコールに強い性質を持つノンエンベロープタイプのウイルスを落とすには、何よりも手洗いをしてウイルスを洗い落とすことが有効だと言われています。

また、手洗いの他にも微酸性の次亜塩素酸水の場合はエンベロープウイルス、ノンエンベロープウイルスの両方に有効だそうです。

感染症対策の基本の手洗いですが、アルコール消毒をしているからとつい過信してしまいそうになります。これからの季節、手洗いを再度見直し、コロナ対策、そして感染性胃腸炎対策としていきたいですね。

※ノロウイルスは食品を介して人に感染する場合があります。冬の味覚であるカキなどの二枚貝は、加熱用の場合しっかりと中まで火を通して食べるようにしてください。またキッチンまわりは、先ほど紹介した次亜塩素酸水や熱湯で消毒するとより感染対策を取ることができます。

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プレビュー画像:©︎Pinterest/Chia Schmitz 

出典:NHK, 除菌ラボ