その他の豆知識
全員が歩けないわけではない|車椅子利用者について知っておきたいこと
昨年2021年、コロナにより1年遅れで開催された東京オリンピック・パラリンピックでは、道路の段差解消や公共交通機関でのエレベーター設置など、車椅子ユーザーが利用しやすいようバリアフリー化が急速に進めたと言われています。
しかし、物理的な面でのバリアフリー化は進めることができても、人々の中にある差別や偏見、また無意識に社会に根づいた偏見はなかなか簡単にはなくせません。
車椅子ユーザーにかけられた心ない言葉
車椅子ユーザーであり、Twitterユーザーの𝙐𝙡𝙩𝙞𝙢𝙖𝙩𝙚 𝙋𝙖𝙞𝙣(アルペン)さん(@PainUltimate)は、車椅子を利用している時にこんな言葉を投げかけられたと言います。
あのね…
— 𝙐𝙡𝙩𝙞𝙢𝙖𝙩𝙚 𝙋𝙖𝙞𝙣(アルペン)♿ (@PainUltimate) March 28, 2022
車椅子に乗っている人は下肢の欠損や完全麻痺の人だけではないんだよ。
少しの間だけ立てる人や、少しの距離なら歩ける人もいるんだ。
だから車椅子に乗っている人が立ったり歩いても『立てんじゃねえかよ!』とか『歩けるんじゃねえかよ』とか言わないでね。
リハビリ頑張ってるんだよ。
「あのね…
車椅子に乗っている人は下肢の欠損や完全麻痺の人だけではないんだよ。
少しの間だけ立てる人や、少しの距離なら歩ける人もいるんだ。
だから車椅子に乗っている人が立ったり歩いても『立てんじゃねえかよ!』とか『歩けるんじゃねえかよ』とか言わないでね。
リハビリ頑張ってるんだよ。」
車椅子ユーザに向けられた「立てんじゃねえかよ!」「歩けるんじゃねえかよ」という、ひどい言葉。𝙐𝙡𝙩𝙞𝙢𝙖𝙩𝙚 𝙋𝙖𝙞𝙣(アルペン)さん曰く、車椅子に乗っているからといって、全員が全員全く歩けないわけではないとのこと。
歩行が困難な人が車椅子を使う理由は、障がいや怪我、病気の症状によって人それぞれ違ってきます。そのため、立ち上がることができる人もいれば、少しの距離であれば歩ける人、また、歩行のリハビリをしているという人もいます。
そう言った背景を知らないことから、「車椅子利用=歩けいない」と思い込んでいる人が多いそうです。
車椅子ユーザーや障がいを持つ人から共感の声
この𝙐𝙡𝙩𝙞𝙢𝙖𝙩𝙚 𝙋𝙖𝙞𝙣(アルペン)さんの投稿には、同じような体験をしたという人から多くのコメントが寄せられています。
その”少し”には普通に歩ける人達には想像しがたい、ものすごく力んでやっとこなしてるのだという事実がなかなか伝わらない。
— 🐔カノエヤック@鶏を名乗るハンター🕊🤍🍀 (@4seasons0325) March 28, 2022
私は自律神経からくる麻痺で、内臓を含めて全身がほぼ機能しない状態なのに、かなり無理して手足動かして働いてました。
……年一程度で救急車呼ぶ奴だとクビになりましたよ。
まったくそのとおりですね。高齢者はもちろん体力の弱ってる人、内臓疾患を患ってる人や精神疾患など目に見えない病気で歩けなくなってる人も車いすを利用するときもありますよね。
— 井上三朗 (@sabutokiku) March 28, 2022
ウチの母がそんな状態です。外出時は車椅子が必要になるが、家では無しでもなんとかなる。
— 晴雨堂ミカエル 言論人の端くれとして今後も生きてまいります。 (@seiudomichael) March 28, 2022
その通りです!
— mellophone 💙💛 (@toshi_yamaoka) March 29, 2022
ある説明会に行ったとき、トイレの位置を聞いたらスタッフが車いすを押そうとするので断わったのですが、トイレ前までついてきて、私か車いすを降りてステッキで歩こうとしたら、その人が「なんだ歩けるのかよ」と言わんばかりの表情で舌打ち。短距離なら歩ける障害者もいるのです。
難聴も同じですね。聴こえる聴こえないの間に音は聞こえるけど何を言ってるか分からない時がある。それを責めないで…何回も言い返して「もういいよ、なんでもないから」って言われるのが1番辛い、自分だけ分からないのが取り残されてるみたいで凄く嫌。聞き返してもちゃんと教えて欲しい。
— hina (@hina10416627) March 29, 2022
私は健常者だけど、車椅子体験をさせていただいたことがあって、車椅子での移動、生活がどれだけ大変かを僅かな時間ではありましたが共有させていただきました。体が不自由な上にさらに車椅子生活もこなしていかなければならないのは本当に大変と思います。世の中もっとバリアフリーであって欲しい。
— enzo 🇺🇦 → 🇯🇵 (@enzo_latest) March 29, 2022
歩けるけど大変な苦労をしている
コメントにもあったように、車椅子を利用しながら短距離であれば歩行できる、家の中なら車椅子なしでなんとかなる、という人たちは、多くが「歩く」を実現するために大変な労力を必要としています。そのため、もちろん人が行き交う公共の場では、車椅子なしで行動をすることは困難な時もあります。
こんにちは。
— アクセルζ ・ิヮ・ิ)ζ玩具野郎 (@Ganguyaro_Accel) March 29, 2022
これに近いものを感じました。 pic.twitter.com/6zfOcCogfw
また、生まれつきの脳性麻痺により足が不自由なため、車椅子を利用しているという寺田ユースケさんは、YouTubeやTwitterで装着型サイボーグHAL®を利用し、歩行のためのリハビリや、普段の暮らしで車椅子を利用しながらも少しずつ歩けるようになっている姿を紹介しています。
このように、車椅子に乗っているからと言って、全員が全員歩けないわけではなく、それぞれ違う症状に合わせ、日々の暮らしの中で車椅子を利用しています。
今回、𝙐𝙡𝙩𝙞𝙢𝙖𝙩𝙚 𝙋𝙖𝙞𝙣(アルペン)さんが投稿した内容は、車椅子ユーザーに関することだけでなく、改めて無意識の偏見や思い込みが社会にはまだまだ多くあるということに対し、気づきを与えてくれるものだったのではないでしょうか。さまざまな偏見や思い込みが「正しく知ること」で解消され、互いに尊重し合える社会でありたいですね。
ちえとくでは以前、白杖ユーザーが受ける偏見についても紹介しています。
・【知っておきたい】視覚障がいを持つ人が白杖を使う時に音を鳴らす理由
プレビュー画像:©︎Pinterest/leplus.nouvelobs.com
出典:©︎Twitter@PainUltimate