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葉がそっくり|ニラとスイセンの取り違えに注意

春に旬を迎える野菜には、冬の間に体に溜まった体内の老廃物をデトックスしてくれる作用があると言われています。日本に古くから伝わる春野菜は苦みや独特の風味があると言われ、この時期旬を迎えるニラもその一つ。スーパーで季節を問わず手に入りますが、春のニラは葉が柔らかく、強い甘味と香りを楽しめます。

ニラと酷似の植物、食べてしまうと食中毒に

この旬の季節に出回るニラですが、実はある植物の葉と酷似していると言われています。その植物とは「スイセン」

冬場になると白くて可憐な花を咲かせるスイセン。ついニラと間違えるなんて…と思ってしまいますよね。でも、花が咲いてない季節は、葉がニラに、球根がタマネギや山菜のノビルに酷似していると言われます。

そのため、これらの野菜や山菜が旬を迎える4月ごろは、スイセンの葉をニラと勘違いし、食べてしまったことによる食中毒が多く発生しているそうです。

つい先日も、京都市内の子育て支援施設でニラとスイセンの取り違えによる食中毒が発生しています。施設内で栽培していたものをニラと思い込み給食に利用したそうですが、調査によって、ニラではなくスイセンだったことが判明しました。

今回は嘔吐や発熱という症状が報告されていますが、スイセンによる食中毒は時に命の危険も伴います。

スイセンによる食中毒の危険

厚生労働省が紹介している「自然毒のリスクプロファイル」によると、スイセンは全草が有毒で、リコリン、ガランタミン、タゼチンなどの毒性成分が含まれているそうです。特に球根に毒成分が多いとのこと。中毒症状は、食後30分以内に発生すると言われ、吐き気や嘔吐、頭痛が主な症状です。しかし重篤な場合には、昏睡、低体温などに陥り、海外では死亡例も報告されています。

スーパーでニラを購入した場合は、ほぼ大丈夫と言えそうですが、自宅の家庭菜園でニラとスイセンともに植えている場合は、注意が必要です。また、実際に直売所でニラとスイセンが取り間違えられ販売されていた、というケースも報告されています。このケースでは、出荷した生産者がニラを栽培していた畑の近くでスイセンを育てていたことから、誤ってスイセンを収獲・出荷してしまったそうです。

このように、取り違えられることがあるニラとスイセンですが、どのように見分けるといいのでしょか。

スイセンとニラの見分け方

葉だけを並べたら、見分けることが難しいニラとスイセン。見分けるには、以下の方法があります。

・香りの違い
葉を揉んでみて、ニラ特有の強い香りがすればニラ、スイセンの場合はニラのような匂いはしません。また、ニラの香りがしても、香りが弱い場合は、食べることのできない観賞用のハナニラの可能性もありますので食べるのは避けるようにしてください。

・葉の大きさ
葉を見て明らかにニラよりも幅が広く、厚みがあり、葉が繊維質で硬い場合はスイセンの可能性が高いと言えます。しかし、細い葉のスイセンはニラによく似ているため、見た目ではほとんど区別がつきません、香りを確かめるようにしてください。

・球根
スイセンの場合は、根に丸い球根があります。また、茎の太さもニラに比べるとスイセンは明らかに太くなっています。もし生えているものがニラかスイセンかわからない場合は、引っこ抜いてみてください。ニラには、ひげのような根っこがあるのみです。

また、この他にもニラの中にスイセンが混ざって生えていることがあります。スイセンの葉はニラの葉よりも背丈が高いので、他の葉よりも際立って大きいものは採るのを避けるようにしてください。

ぱっと見で並べられたら見分けがつかないと言われるニラとスイセンの葉。ニラと思って手にしたものが、少しでも怪しく感じた時は、食用に利用するのは避けるようにしていきたいですね。

また、この季節はヨモギが旬を迎えています。ヨモギも猛毒植物のトリカブトにそっくりであることから収穫には注意が必要です。以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

・植物界最強の猛毒|ヨモギとそっくりなトリカブトに要注意

プレビュー画像:©︎Pinterest/hamsonic.net
出典:東京都薬用植物園, 長野市, 群馬県