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湿気を感知!?タンポポの綿毛のしくみ

通勤や通学の道端や公園などで春になると黄色い花をさかせるタンポポ。いつの時代も変わらない丸くて黄色い花を見かけると、なんだかほっこりとした気持ちになります。また、黄色い花もさることながら、白くフワフワとした綿毛姿には素朴な可愛さを感じます。

今回はそんなタンポポの綿毛の驚きの一面をご紹介します。

こちらをご覧ください!

自然ガイドのネタ帳さん(@kumasuke902)が「見よ!これがタンポポの撥水力!」と紹介したのは、タンポポが濡れたらどうなるかという動画。

タンポポの綿毛を水の入った瓶に入れる1
Twitter/kumasuke902

自然ガイドのネタ帳さんは、水の入った瓶に、タンポポの綿毛部分を入れていきます。

タンポポの綿毛を水の入った瓶に入れる2
Twitter/kumasuke902

けっこうしっかり深くまで綿毛を水に浸します。水に濡れた綿毛はくちゃっとなって見え、びしょ濡れになっていそうな予感。

タンポポの綿毛を水の入った瓶に入れる3
Twitter/kumasuke902

しかし、瓶から姿を見せた綿毛はというと…。

タンポポの綿毛を水の入った瓶から引き上げる
Twitter/kumasuke902

この通り、まったく濡れておらず綿毛も無事です!

タンポポの綿毛を水の入った瓶から出したところ
Twitter/kumasuke902

なんということでしょう、ものすごい撥水力です!

でもなぜ、息を吹きかけるといとも簡単に飛んでいく綿毛が水にこんなにも強いんでしょう。

タンポポの綿毛は湿度に敏感

冠毛と呼ばれるタンポポの綿毛は、下に種子を付けており、離れた場所で繁殖するために、風に乗って飛ばされやすいよう羽に似た形をしています。

このように繁殖のための綿毛は、湿気にも強い機能が備えられ、雨の日になると濡れて落ちてしまわないよう、綿毛を閉じる機能が備えられています。湿度を敏感に感じ取り開閉をする綿毛は、晴れている日は、元通りのふわふわの綿毛に戻るのです。

この性質を利用したのが、先に紹介した自然ガイドのネタ帳さんの動画です。動画中では、水に濡れて落ちてしまわないようタンポポの綿毛が水中でぎゅっと綿毛を閉じているのを見る事ができます。

水の入った瓶に入れられた綿毛
Twitter/kumasuke902

湿気感知機能だけじゃない綿毛のすごい働き

種子を離れた場所に飛ばすため、湿気を感知し雨から種子を守る綿毛。風に乗って遠くに飛んで行く印象がありますが、じつは綿毛の作り自体も遠くに飛ぶようにできているのだそうです。

世界的に最も権威ある雑誌のひとつ「Nature」に掲載された論文によると、タンポポの綿毛には力学的な仕組みが備えられているのだそう。

タンポポの綿毛は、太陽の熱で地面が温められて上昇気流が発生した時に、フワフワと飛んでいくそうです。論文によると綿毛が飛んでいる時、綿毛の周囲を流れる空気は、綿毛の縁をなでるように大きく蛇行していることがわかったそうです。さらに綿毛の上部にまるで天使の輪のような空気の渦も出来ているとのこと。

このことから、まず綿毛は上昇気流に当たることで生まれた大きな空気抵抗によって吹き上げられます。そして綿毛の上部にできる渦の輪によって空気が内から外へ流れることで、綿毛上部の空気の圧力が低下し、綿毛がさらに上へ引き上げられるとのこと。渦が常に発生することで、綿毛は長い間フワフワと長距離を飛ぶ事ができるのだそうです。

普段何気なく見ていたタンポポの綿毛、こんな仕組みがあったとは驚きですね。お散歩中など、綿毛を見かけたらぜひ手に取ってみてください。

以前紹介したタンポポの綿毛をそのまま閉じ込めて作るペーパーウェイトの記事はこちらからご覧いだだけます。

タンポポの綿毛のペーパーウェイト

プレビュー画像:©︎Twitter/kumasuke902
出典:Twitter@kumasuke902, 浜松科学館