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手仕事に対価を支払うことの意味 ドイツの職人の訴えに共感

日本にも「芸は身を助ける」という言葉がありますが、ドイツには「手に職があることは黄金の基盤」ということわざがあります。さすが職人を大切にする国!と思いますが、一方でドイツはDIY大国。家や車のちょっとした修理なら、普通に自分でやってしまう文化があります。ですから、自分でもできそうな仕事に対して、職人に高いお金を払うことをもったいないと感じる人も多いようです。

ドイツで大工をしているレネ・ローズは、こうした顧客との対話をフェイスブックに投稿することで、職人の手仕事に対価を支払うことの意味を訴えています。この投稿は共感を呼び、1万回以上シェアされています。以下がその投稿です。

「『手』仕事がなぜそんなに高いのかと怒る人が後を絶ちません。その理由をお伝えするため、仕事にいくらかかるかを聞いてきた顧客との会話をご紹介しましょう。

職人:500ドルです。
顧客:この仕事に?高すぎるよ!
職人:…では、いくらかかると思っていましたか?
顧客:せいぜい100ドルか、無料でもいい。簡単な仕事だよ。
職人:では100ドルで、ご自身でやることをお勧めしますよ。
顧客:うーん、そうだけど、どうやって?
職人:100ドルで私があなたにやり方を教えます。そうすれば400ドルの節約になりますね。

顧客はこのアイデアを受け入れます。そこで私は作業を行うために必要なものを説明しました。

職人:機材が少なくとも2台、各種工具、接着剤、ワックスなどが必要です。
顧客:そんなの全部持っているわけないよ。今回のためだけに買ったりできないし。
職人: では私の道具を200ドルでお貸ししましょう。それなら自分でできますね。
顧客:いいね!
職人:了解です。では金曜日にお待ちしております。
顧客:ああ、金曜日は無理だな。今日しか時間がないんだ。
職人:しかし、今日は機材をお貸しして、やり方を教える時間がありません。そのうえ必要な材料を購入する時間もありませんよね。
顧客:ああ、そうか。でも店に材料を買いに行くなんて無理だよ。時間がない。あなたは全部持っているんでしょう?材料を売ってもらえる?
職人:わかりました。仕方ありません。私の持っている材料をプラス100ドルで売りましょう。他の仕事があるので時間通りに来てください。明日の朝5時にここで仕事を始めましょう 。
顧客:なんだって!朝5時は早すぎる。500ドル払った方がましだ!計算してみれば、もっと費用がかかるじゃないか!

仕事の対価には以下のものが含まれます。

– 知識・経験
– 時間
– 道具・機材
– サービス
– 時間厳守・信頼性
– 責任
– 保証
– 作業場・倉庫
– 輸送、合法的なビジネスに必要なその他のすべてのもの

「他人の仕事の対価が妥当ではないなんて簡単に言うべきではありません。これは人生の教訓です」とレネは語っています。

Pixabay

もちろんなかには雑な仕事をする職人もいるでしょうが、ほとんどの職人は実直に丁寧な仕事をしています。それにはお金がかかり、サポートが必要なのです。

職人や作家などプロフェッショナルの仕事に支払う報酬には、その仕事の純粋な価値以外にも、さまざまなものが含まれていることを忘れずにいたいですね。

日本の伝統工芸を紹介したこちらの記事もぜひご覧ください。

プレビュー画像: ©Media Partisans

手仕事に対価を支払うことの意味 ドイツの職人の訴えに共感