ちえとくをフォローする

Lifehacks

登っちゃダメ!落ちたら超危険、本当は恐ろしいテトラポッド

海や河口岸で見かけるテトラポッド。海岸や河口岸へ押し寄せる波のエネルギーを和らげ、沿岸の侵食を防止する目的で配置するコンクリート製の消波ブロックです。周囲を海で囲まれた島国である日本では、防波堤の外側や海岸から少し離れた沖合でよく目にします。

実は「テトラポッド」は株式会社不動テトラが販売する消波ブロックの商品名ですが、いまや消波ブロック=テトラポッドと広く認識されるほど、日本国内では最も見かけることが多いタイプの消波ブロックとしてすっかりお馴染みとなっています。

↓ こちらは沖縄の伊計島。台風の常襲コースである沖縄の沿岸部には、護岸のために数多くのテトラポッドが設置されています。

コロンとした丸みのあるシェイプがどことなくノスタルジックなテトラポッド。子供の頃、テトラポッドの上で遊んだことがある人もいるのではないでしょうか。

夏気分満載のあの名曲にも「Ah  テトラポット登って〜」というサビフレーズがあるように、旅先などでテンションが上がってついつい上に登ってみたくなるかもしれません。

しかし、どんなに夏気分が盛り上がろうと、テトラポッドの上に登るという行為は止めておいた方がよいでしょう。

【実は危険スポット〜落ちたら怖いテトラポッド〜】

テトラポッドの本来の目的は護岸整備。激しい波などで堤防が壊されたり、沿岸部が侵食されないために設置してあるものです。つまり、打ち寄せる波が強い場所に置いてある、ということです。

また、テトラポッドは人が乗ることを想定して作られていないため、足場が不安定。濡れると滑りやすく、簡単に隙間に落ちてしまいます。

もし、テトラポッドの上に乗っていて隙間に落ちたとしたら…一体どのようなことになるのでしょうか?

仮にテトラポッドの間に落ちたとしてもよじ登るから大丈夫。そう考えるのは軽率です。

自力でよじ登るのは至難の技

テトラポッド帯の海面から出ている上の部分は一部にすぎず、その多くは海中に沈んでいます。テトラポッドの海水に浸かっている部分や波がかかり濡れている部分は海藻や苔などでヌルヌルと滑りやすく、よじ登るのは至難の技。また、フジツボやカラス貝・牡蠣などが表面に付着しているため、落下の際に皮膚を切るだけでなく、しがみついたり這い上がろうとすると手足の皮膚を切ってしまい、テトラポッドをよじ登り自力で脱出することは困難です。

大声で助けを呼んでも…

同行者がいれば、異変に気付いてもらいやすく、助けを呼ぶことができます。しかし、単独行動でテトラポッドに落ちた場合、転落に誰も気づかない可能性大です。大声で助けを呼んでも、テトラポッド内に打ち寄せる波の音が反響し、かき消されてしまうため、助けを求める声に誰も気づかない…そんなこともあり得るのです。

隙間の複雑な潮流で奥底深くまで引きずり込まれる危険性が

波の力を逃がす消波ブロックの役割を果たすテトラポッドは構造上、隙間の間に潮流を流し、打ち寄せる波のエネルギーを分散させます。そのため、テトラポットの隙間の潮流は複雑。力強い引き波で海中のテトラポッドのより奥底深くの隙間へと、引きずり込まれる可能性もあります。底の方へと吸い込まれると、救助は極めて困難。状況によっては遺体回収も不可となる可能性もあるのです。(標準サイズのテトラポッド1個の重さは約20トン。とうてい1個ずつ持ち上げて捜索するなど不可能です)

脱出できずにいると潮の満ち引きで…

落下した隙間の水位が首から下であっても、海面水位は潮の満ち引きで変わります。テトラポッドの隙間に落ちたまま、脱出できずに満潮を迎え、溺死してしまうというケースもありえるのです。

転落時に大怪我や頭を強打して溺死する可能性も

テトラポッドは硬いコンクリート製。転落時に大怪我を負うだけでなく、最悪の場合、打ち所が悪く死亡してしまったり、頭を強打して意識を失い、そのまま溺死してしまう可能性もあります。

一見、のどかなように見えて、隙間に落ちると命を落としかねない…実は恐ろしいテトラポッド。テトラポッドの上に乗ることがいかに危険を伴う行為であるかについての注意が呼び掛けられてはいるものの、毎年テトラポッドから転落し死亡する事故は後を絶ちません。

テトラポッドに引きつけられるのは、子供や好奇心に駆られた大人だけではありません。テトラポッドは釣り人にとっていわば絶好の釣りスポット。テトラポッドの隙間は魚にとって隠れ家となるため、「穴釣り」スポットとして知られているのです。十分な水深があり、潮通しの良い防波堤の外洋側に設置されたテトラポッド帯は、穴釣りで大物が狙える穴場スポットとして釣り人たちに人気があります。

テトラポッドの上で釣りの最中にうっかり足を滑らせ、テトラポッドの隙間に転落する事故は毎年何件も発生しており、海上保安庁は注意を呼び掛けています。

意外と知られていないテトラポッドに潜む危険性。海面から上は穏やかに見えても、「テトラポットの隙間に落ちたら生死に関わらず二度と海上には戻れない」とも言われているほど、テトラポッドの下には複雑な潮流が流れています。

テトラポッドの危険性を知らずに上に乗って思わぬ事故を招くことのないよう、念頭においておきたいですね。

水辺での事故を予防するために、知っておきたい対策シリーズはこちらからご覧ください ↓

【海に潜む危険】離岸流に注意!対策と予防

【実はこんなに危険!】「ため池で溺れる理由」の真相が恐ろしすぎる

プレビュー画像: ©️pinterest/good-balance.com