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DIY

身近な植物が持つ意外な危険性と、中毒になったときの正しい対処法

散歩をしていると季節の植物に癒されますよね。でも、自然界には毒のあるものがたくさん。植物は毒を持つことで動物や鳥に食べられないように身を守っているのです。私たちが日頃から親しんでいる身近な植物にも毒が潜んでいることがあります。

身近な植物が持つ意外な危険性と、中毒になったときの正しい対処法をご紹介します。

毒性のある身近な植物

1.   チューリップ

春の庭を彩るチューリップには毒があります。大きな花びらは特に美しいですが、バラなどと違って、チューリップは食べてはいけません。食べると腹痛、体温の低下、最悪の場合は呼吸困難で死亡する恐れがあります。

また、花だけでなく、葉、球根と全草に毒性があり、触れただけでも皮膚が荒れてしまうことがあります。チューリップを植える際はゴム手袋をしましょう。お子さんが花を摘んだり、花で遊んだりしないようにご注意ください。

Tulips

2. シャクナゲ

シャクナゲは初夏に花が咲くツツジの仲間。ツツジといえば、子どもの頃に花の蜜を吸った思い出がある方もいるでしょう。でも、意外にもツツジ科には毒性のある植物が多いのです。

シャクナゲも種類によって、花や葉、花蜜に毒があります。実際、子どもがシャクナゲの花の蜜を吸って中毒になった事例もあります。シャクナゲの毒は、吐き気、下痢、不整脈などの典型的な中毒症状を引き起こします。お子さんが口に入れないように特に注意が必要です。また、シャクナゲの葉や花に触れた後は、必ず手を洗うようにしてください。

©Pixabay/Capri23auto

3. ルバーブ

ルバーブは、ケーキやジャムの材料として最近、人気の植物。加工時に加熱されていれば全く無害です。しかし、生のルバーブの茎にはシュウ酸が含まれています。生のルバーブは食べてはいけません。これは、胃腸や循環器系の問題を引き起こす可能性があります。

©Uellue via Wikimedia Commons

4. ドクセリ

レースフラワーのような清楚な花を咲かせますが、名前からも分かるようにドクセリは猛毒のある危険な植物。世界で最も有毒な植物のひとつとされ、吐き気や痙攣などの中毒症状を引き起こし、呼吸麻痺を起こして死に至ることもあります。

しかし、多くの人が山菜のセリと間違えるため、食中毒を起こす例が後をたちません。セリとドクセリの見分け方は、「香り」と「下部の構造」です。セリは葉をちぎると爽やかな香りがしますが、ドクセリは香りはほとんどありません。また茎の下部を割ってみて、タケノコのような節があればセリ、中空のものはドクセリです。山菜取りに行く際は、セリとドクセリの見分け方をよく調べて、ドクセリに触らないように注意してください。

©Llez via Wikimedia Commons

5. キンポウゲ

キンポウゲは英語名バターカップ。なんだか美味しそうな名前ですが、この名前は誤解を招く恐れがあります。キンポウゲは有毒植物。この植物から出る白い分泌液は、触れると皮膚にかゆみや水ぶくれを引き起こします。汁が目に入ると、一時的に失明することもあります。かわいらしい花ですが、花を摘むのはやめたほうがいいでしょう。もし花を触った後は必ず手を洗いましょう。また、家畜動物(馬や牛)にとっても有毒なので、放牧地では、花を取り除く必要があります。

©Annelis via Wikimedia Commons

6. ニワトコ(ブラックエルダー)

ニワトコは夏の終わりに甘い香りのする可憐な花を咲かせ、その後、黒紫色の果実をつけます。ハリーポッターの「ニワトコの杖」が強く破壊的な魔力を持っていたように、ニワトコは薬効のある万能薬として知られる一方で、時に人間にとって有害な作用をもたらします。

ニワトコの熟していない実や葉には毒が含まれます。子どもや動物がそのまま口にすると下痢や嘔吐などを引き起こすので注意しましょう。完熟した実や葉は、加熱すれば、ジャム、シロップ、ハーブティなどとして問題なく食べることができます。

また、ニワトコの花(エルダーフラワー)は、風邪を治す効果やデトックス効果があり、ハーブティやシロップとして楽しむことができます。ただ、花粉は人によって深刻なアレルギー症状を引き起こします。

©Jonathan Billinger via Wikimedia Commons

7. オータムクロッカス(コルチカム)

秋にクロッカスに似た美しい花をつける球根植物がオータムクロッカス(コルチカム)です。しかし、この可憐な花の球根には致命的な毒「コルヒチン」が含まれており、少量でも摂取すると、すぐに口や喉が焼けるような感覚に襲われます。さらに、麻痺や心血管不全の症状が出ることもあります。

この猛毒のある球根、芽吹く前の見た目が行者ニンニクと似ているため、誤食する人がいます。見分け方としては、行者ニンニクには匂いがありますが、オータムクロッカスには匂いがありません。

©Mehlauge via Wikimedia Commons

他にもニラと間違ってスイセンを食べて食中毒を起こした例なども毎年のように報告されています。植物の誤食による中毒の対処法は以下の通りです。

  1. 応急処置 : 毒のある植物を食べてしまった場合は、すぐに口の中の残骸を取り除き、水で十分に洗い流しましょう。また、植物によってはかゆみを伴うことがあるので、手や目もよく洗ってください。
    注)牛乳を飲む、胃腸薬・催吐剤を飲むとかえって危険な症状を引き起こす有毒植物もあります。
  2. 受診:応急処置の後、病院を受診しましょう。植物の名前がわからない場合、植物の特徴や生えていた場所などを覚えておきましょう(可能であれば、触らないように注意して、植物の一部を保存しておくのがベストです)。
  3. 救急車:一定時間後に重篤な症状が出た場合は、速やかに救急車を呼びましょう。

私たちに癒しと心の安らぎをくれる植物たち、その毒性も含めて理解して、安全に美しさを愛でたいですね。

 

プレビュー画像: ©Uellue via Wikimedia Commons ©Llez via Wikimedia Commons