ヘルスケア
感情的ネグレクトがもたらすもの
「そんなこと言ってはダメ!」「また私を困らせて…」「ほんとにダメな子ね」などという親から子へのネガティブな言葉は、多くの場合知らず知らずのうちに子供のメンタルの奥深くにまで侵食し、子供たちの人生にずっと付きまとい苦しめるものです。
子供に心ない言葉をかける、子供の感情に気にかけないといった、感情的ネグレクトの親の元で子供時代を過ごした人や、大人になってもなお、その影響に苦しんでいるという人には、ある特徴があると言われています。
感情的ネグレクト:大人になってから見られる影響
子供の頃の記憶というのは、良いものも悪いものも、手放そうとしても簡単に手放せるものではなく、無意識のうちに深く私たちに関わってくるものです。特に、親との関係は子供が高齢になるまでの長きにわたり、人格に影響を与えると言われています。愛情を与えられなかった子供、要求を満たしてもらえなかった子供、または冷遇された子供は、親から受けた感情的ネグレクトを生涯ずっと抱えて生きていくことになります。
しかし、多くの人がこのような「冷たい子供時代」を過ごしたかどうか、自覚がないと言われています。というのも、感情的ネグレクトは子供時代に何かを感じたり、何かが起きるものではなく、何十年も後になって初めて「何かおかしい」と感じるものなのです。

これから紹介するのは、子供時代に感情的ネグレクトを受けた大人に見られる特徴です。
1. うつ
子供時代に、要求を満たされない、気持ちを汲み取ってもらえないなど、親から気にかけてもらえなかった子供は、自分の要求はさして大切なものではないと学びます。そうなると、自らの感情へのアクセスがブロックされてしまい、うつ病を発症する原因になってしまうのです。
2. 自己主張が苦手
「いつもその場に合わせていた、何か嫌だとか、調子が悪いとか、そういうことは一切言ったことがない」このように、自己主張をしないのは、感情的ネグレクトがもたらす結果と言われています。なぜなら、子供は自分が何かを言えば、その場の空気が崩れると認識しており、大人になってもなお自分の希望を退けたり、自分を犠牲にしてしまうことがあります。
3. 反抗的な態度や権力への執着
これまで、うつや自己主張が苦手などの傾向を紹介しましたが、それとは全く逆のような特徴もあります。感情的ネグレクトを受けた子供の中には、自分がわめいたり、攻撃的になった時にだけ、大人から気にかけてもらえる経験をした子供がいます。そういった子供たちは、大人になってから集団行動をしたり、ルールを守るといったことが非常に難しくなります。
![[don't touch]](https://live.staticflickr.com/4080/4736331875_20b5cb630c.jpg)
また、感情的ネグレクトを受けた子供は、自分が他人をコントロールしたり、その人よりも上に立つことでしか、自分の価値を感じられない傾向にあり、権力に執着する特徴があります。
4. 自己肯定感の欠如
愛情に欠けた子供時代を過ごした人は、自分の長所も短所もすべてを悪い部分だとひっくるめてしまいます。そのため、多くの人が自分は価値のない人間だと思い、失敗を恐れたり、他人から拒絶されていると思い込んでいます。羞恥心や罪悪感が常に心の中に渦巻いているのです。
5. 愛着障害
子供の頃に感情的ネグレクトを受けていた人たちは、他人と感情的な部分で健全な関係を築くことが苦手です。
6. 虚無感
愛情不足で育った子供は心が満たされず、大人になっても感情が乏しく、虚無感を感じることが多いと言われています。
![365 Days - Day 20 [bad mood]](https://live.staticflickr.com/187/410831198_aebc1fabaa.jpg)
7. 感情表現が苦手
感情的ネグレクトは、子供たちが自分自身の感情を認知・整理整頓し、表現するということを難しくします。そのため、ちょっとしたことで興奮してイライラしがちです。また、親から要求を無視されていた子供たちは、成長してから、他人へ対しても同じように接し、共感や慰めの感情が持てず、周囲から冷たい人だと思われてしまうことも。
感情的ネグレクトは、親も意図せずしていることが多く、おそらく親もそうして育てられたきたことが原因と考えられています。また、親が子供の人生を思い、愛情よりも厳しさや躾を優先させてしまった場合にも起こります。そのため、大人になって抱える問題に対し、感情的ネグレクトをしてきた親を攻めることには効果がないとされています。
しかし、自分が子供時代に親から感情的ネグレクトを受け育ったと認識することは、抱える問題に向き合うことに繋がります。そうして少しずつ、自分の感情とうまく付き合えるようになり、自分を受け入れ、自分を愛することができるようになります。そして最後には、自分が大切な存在であると思えるようになるのです。道のりは長いですが、自身の幼少期を振り返り、向き合うことが第一歩です。
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出典: seelenverwandter24
プレビュー画像: ©flickr/charcoal soul ©flickr/RHiNO NEAL
