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MIHって何?子供の歯に現れるエナメル質形成不全症とは

6歳ごろから段々と乳歯から永久歯に生え変わる子供の歯。完全に生え変わるまでの時期は、生えたての永久歯は虫歯になりやすかったり、左右だいたい同時期に生え変わりが起きているか、など子供の歯に注意を払っているという人も多いのではないでしょうか。

罹患率の高いMIH

みなさん、子供の歯に現れるMIH(エナメル質形成不全症)という症状をご存じですか?

MIHとは、前歯(前から1、2番目の歯)と第一大臼歯(前から6番目の歯)に限定して現れるエナメル質形成不全のことをいいます。英語でMolar Incisor Hypomineralisationと記載するこの症状は、2001年にオランダの研究者によって世界で初めて報告され、日本では2010年代になって研究が始まり、日本語の病名はまだないそうです。2018年に日本小児歯科学会行った大規模調査の結果では、軽症から重症のものまで含め、日本の小児の1〜2割がMIHに罹患しているという結果が出たそうです。

MIH
©Wikipedia/Maurizio Procaccini et al./CC BY 2.0

以下では、MIHについて知っておきたい6つのポイントをご紹介します。

MIHについて知っておきたいこと

1. 歯がもろく虫歯になりやすい

MIHでは、透明感のない白色や黄褐色をしているのが特徴です。これは歯のエナメル質の石灰化に問題が生じた結果起きると考えられています。エナメル質は通常、歯を丈夫で健康に保つ役割があります。しかし、MIHではエネメル質がもろいため、歯が欠けやすかったり弱くなってしまいます。そのため、噛む力のかかる奥歯は簡単に欠けてしまうことも。また、放っておくとそこから虫歯になってしまいます。

2. 知覚過敏が生じることもある

歯のエナメル質異常により起きるMIHでは、時に歯がとてもしみてしまうということも起こります。歯磨きや冷たいもの、温かい飲み物を口にした時にしみたりといった知覚過敏を生じるお子さんもいるそうです。もし子供がそのような症状を訴えた時、歯科医院の受診はもちろんですが、家庭では柔らかい歯ブラシを準備し、すすぎはぬるま湯でするようにしてください。

3. 原因は不明

MIHは永久歯に現れると言われ、1本、ないし複数本現れる場合もあると言われています。MIHについては、歯が生えるよりずっと前、つまり母親の妊娠期の服薬、出産時の障害、早産、生後1-3年以内の疾患や抗生剤の投与などさまざまな要因が挙げられますが、決定的な要因は明らかになっていません。

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4. MIH予防と対策

明確な原因ははっきりとしていないと言われるMIHのため、完全な予防策はあるとは言えません。ただ、小児科医の中には、子供が1歳になるまでの間はBPAフリーのおもちゃを与えたりするなど、プラスチックとの接触を避けるようにしたほうがいいいう医師もいます。

※BPA:プラスチックの材料や添加剤として使われるビスフェノールAという素材

また、MIHの症状が見られる場合は虫歯対策は必須と言われ、歯みがきやおやつ、飲み物などに気をつけ、定期的な歯科医院の受診も必要となってきます。

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5. 早期発見がカギ

MIHは特に前歯によく見られると言われ、早期に歯科医院を受診することが大切な永久歯を守るためにも重要です。MIHを含め、子供の歯に現れる異常にいち早く気付くために、定期的に歯医者に行くことをおすすめします。また、少なくとも乳歯が生えそろう1歳半〜3歳、永久歯が生え始める6歳ごろのタイミングでは検診を受けるようにしてください。また、たとえ症状が進んだ状態だったとしても、歯を元に戻すことはできませんが、経過観察を続け小さな治療を続けることで歯をなるべく長くもたせたり、しっかりとした被せ物をするなど、歯の状態に合わせて治療をしていくことができます。

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6. 白濁だからといってMIHとは限らない

生え変わってきた子供の永久歯のエナメル質に白濁があるからと言って、全てがMIHであるとは限りません。白濁から考えられる原因は以下の通り。

  • 遺伝性のエナメル質形成不全では、限定された歯にだけに見られるMIHとは違い、乳歯および永久歯のすべての歯に形成不全が起こります。ただ、これはかなり稀だと言われています。
  • 歯の表面に見られる白濁は、歯のエナメル質にあるカルシウム成分が少なくなり、脱灰してしまった状態。これは虫歯の初期症状に見られる白濁です。
  • 子供が小さな時に乳歯をぶつけてしまったり、転んでしまった衝撃で、乳歯の根が永久歯に当たって白濁になってしまうことがあります。

罹患率が多いと言われるMIH。しかし適切な治療で歯を守っていくことができます。今回は子供の歯に見られるMIHについて紹介しましたが、定期的な歯科医院の受診、年齢を問わず改めて大切だと感じますね。

虫歯予防など、歯に関する記事は以下でも紹介しています。

出典: eltern, bkk-mobil-oil, zahnersatzsparen
プレビュー画像: ©wikipedia/Maurizio Procaccini et al.